汗をかくとで気になるにおい…
臭う人もいれば臭わない人もいます。
特に気温の高い夏場は運動をしていたり、少しの外出でも体を動かすと普段よりも汗をかきやすいので、汗をかいた後の臭い対策は早めにとる必要があります。
汗をかいて体から発せられるにおいは自分ではわかりにくく、気づかないうちに周りの人を不快にしていることも…
臭いに気づいた周りの人たちも簡単に伝えることは難しいと思います。
今回は、汗のにおい原因や、この夏実践したい効果的な臭い対策、さらに汗をかいた後にすべきことなどについてお話します。
汗について
汗をかくと臭う印象があると思いますが、本来汗は無臭なんです。
では、なぜ汗をかくと臭いがするのか?
まずは汗について知っておきたい知識について解説します。
汗の種類
汗の種類にはエクリン腺とアポクリン腺の2つがあります。
エクリン腺は、全身に分布している汗腺であり、主に体温調節に使用される器官です。
アポクリン腺は、ワキの下や外陰部、肛門周辺、乳輪、外耳道などの特定の部位に存在している汗腺です。
運動をしたり、辛いものを食べたり、暑い場所に入ったりして汗をかくのは、エクリン腺から分泌される汗である場合が多いです。
汗の役割
汗の最も重要な役割は体温の調節です。
気温の上昇や運動、発熱などで体温が高くなった時に発汗は起こり、汗の水分が皮膚の上で蒸発すると熱が奪われ(気化熱)上がった体温が下がります。
それによって体温を平常(日本人平均体温は36.89℃)に保つことが出来ます。
他には、老廃物や余計な水分を体外へ排出させ新陳代謝を上げたり、免疫力や体力の向上、美肌効果が期待できます。
自らの意志で身体を動かし発汗させることで、ストレス解消効果もあります。
汗をかくことは、肌の潤い、保湿において、重要な役割をもっているので 汗をかかないと、肌の乾燥、肌のバリア機能の低下を引き起こしてしまいます。 更に、汗に含まれる抗菌成分や汗の流れによる除菌効果、皮膚表面の臭いの原因を汗と共に落とすことによる臭い対策の役割があります。
一般的に基礎代謝が高い人は体温が高く、周りの人に比べて汗をかきやすいです。
上記については身体の異常は特に問題ありませんが、手の平や脇が常に湿っていたり、気温が高くなくてもたくさん汗をかく場合は「多汗症」の疑いがあるので一度皮膚科に行くことをお勧めします。
汗をかくデメリット
汗をかくメリットは汗の役割そのものですが、逆に汗をかくことのデメリットは以下にあります。
汗をたくさんかきすぎてしまうと体の水分が失われ、血液はドロドロになります。
汗の元となる血液中の水分量が少なくなり、やがて汗も出なってしまいます。
その結果、体温は上昇し続けるため、熱中症の危険性が高まります。
そのため、汗をかいたら水分補給をすることがとても重要になります。
汗をかかないメリットとデメリット
では、汗はかかない方が良いのか?メリットとデメリットをまとめました。
- メリット
体のベタつきを抑えられたり、汗をかくことによる臭いの原因を抑えられる。
汗による衣類のシミや黄ばみを抑えられる。
- デメリット
汗の役割でもお伝えしたとおり、肌の乾燥、肌のバリア機能の低下を引き起こしたり、汗に含まれる抗菌成分、汗の流れによる除菌効果、皮膚表面の臭いの原因を汗と共に落とすことによる臭いの原因になったりと体を守るための機能が低下してしまいます。
健康であれば環境と体温上昇に応じて、暑い日には体温が高くなるのでその分たくさん汗をかいて体温調節をしているのですが、少しでも汗をかきにくい状態になると体温が上がりやすくなり、うつ熱(体内に熱がこもる状態)や皮膚温が上昇し、熱中症のリスクにつながります。
汗はかきすぎてもかかなくても熱中症になる恐れはあるということです。
汗をかかないメリットに対しデメリットの方が圧倒的に多いです。
よって汗をかかないメリットはほぼないと考え良いでしょう。
要するに汗はかいた方が良くて、汗をかいてからの対応が大事ということです。
汗の臭いが発生する原因
今回の本題、汗をかいてなぜ臭いが発生してしまうのかです。
汗が皮膚の表面でアカや皮脂などと混じり合い、これを細菌が分解することでニオイ物質が発生して臭くなります。 すっぱいニオイや、ぞうきんのようなニオイは、エクリン腺から出る汗のニオイがもととなり、細菌が作り出した物質のニオイです。 また、アポクリン腺から出る汗からも、細菌の分解によってニオイが発生します
汗の臭い発生原因4つ
- 汗を放置している
- 汗腺のろ過機能の衰え
- 疲労やストレス
- 食事栄養素の偏り
汗を放置している
本来汗は無臭ですが、汗をかいてすぐに拭き取らず放置していると、汗腺(主にエクリン腺)から分泌される汗はほとんど水分でにおいの元となる物質も含まれていません。
しかし、汗を拭き取らずに放置すると、皮膚の汚れや垢などが汗に含まれる水と混ざり、
栄養源として皮膚表面にいる細菌が代謝し、におい物質を作り出すことで、汗特有のにおいが発生します。
また、「アポクリン腺」という汗腺から出る汗には、少量のタンパク質が排出物として含まれており、タンパク質も、皮膚表面に存在する細菌がエサとして取り入れることで代謝物を生成し、汗のにおいの元となってしまいます。
におい物質を作らないためには、細菌が汚れやタンパク質を取り入れて分解してしまう前に、汗を拭き取ることが大切です。
汗腺のろ過機能の衰え
汗の原料は血液であり、液体成分の血しょうから汗が作られます。
血しょうにはミネラルなど体に必要な成分も含まれているため、汗を生成する段階で汗腺でろ過することにより、これらの成分を回収して体内に戻しています。
しかし、汗腺が血しょうをろ過する働きには限界があります。
汗の量が多くなったり、ろ過機能が衰えてうまく働きが悪くなると、体内に回収されるべき物質が血しょう中に戻されず、汗に残ってしまいます。
疲労やストレス
「疲労臭」や「ストレス臭」とも呼ばれているものですが、疲れやストレスを感じたときに、汗のにおいが強くなることがあります。
疲れやストレスが溜まると、血液中のアンモニア濃度が上昇します。血液中のアンモニアは汗の生成時に汗に残るため、尿臭のような鼻を刺すにおいを発する汗を発生させます。
そのため、疲労やストレスが溜まるほど、汗のアンモニア臭は強くなる傾向があるので、適度な休息と、ストレス解消に努めることが重要です。
食事栄養素の偏り
動物性タンパク、脂質の摂取量が多いとにおいの元となりやすいです。
動物性タンパク質は分解されるとアンモニア・インドール・硫化水素など「腸内体臭」の原料になり、動物性脂質は過酸化脂質など加齢臭や皮脂臭の原料となります。
そのため、動物性タンパク質、脂質を食べる量が多ければ多いほど、ニオイ物質は多くつくられます。
または腸内の悪玉菌のエサにもなるので、摂りすぎてしまうと悪玉菌が増加し腸内環境の悪化に繋がります。
動物性タンパク質を多く含む食品:肉(牛・豚・鶏など)、肉加工品(ハム・ベーコンなど)
動物性脂質を多く含む食品:乳製品(バター・マーガリン・チーズなど)
動物性タンパク質・脂質の摂取を減らすことで予防が可能になります。
また、辛い食べ物は発汗を促す傾向にありますが、ニンニクや香辛料を多く含む食べ物も体臭を強くする傾向があるため、摂取量を控えると良いです。
辛い食べ物の中でもキムチは健康的な食材として注目されていますが、ニンニク臭や発酵臭が汗のにおいの原因となる場合があるので摂取量には注意が必要です。
対策
汗の臭いの発生原因がわかったところで続いては臭い対策をしっかりおこなっていきましょう。
臭いを抑える対策5つ
- 汗をかいたらすぐに拭き取る
- 適度な運動をおこなう
- 朝にシャワーを浴びる、夜に湯船に浸かる
- 食生活の改善をする
- 制汗剤を使う
汗をかいたらすぐに拭き取る
汗を拭き取らずに放置してしまうと、皮膚表面の汚れや垢、皮脂に汗が混じり、細菌のエサとなってしまい臭いの原因となってしまいます。
細菌のエサとなる物質を作らないようにするために、汗をかいたらすぐに拭き取り清潔な状態をキープするようにしましょう。
汗は約1時間程で細菌が繁殖しやすい状況となり、汗がにおいを発生する元となってしまいます。出かける際は、汗をかいてからはなるべく早く、遅くとも1時間以内に汗を拭き取るようにしてください。
汗を拭き取る、乾燥したタオルでは水分の吸収しかできないです。
体臭の原因物質まで拭き取るためには、水で濡らしたタオルや、汗を拭き取れるボディシートを活用しましょう。
適度な運動をおこなう
汗のにおいを気にして、汗をかかないよう運動を避けてしまうと、汗腺の機能低下や汗の悪臭が強くなる恐れがあります。
汗腺の機能低下を防ぐために、日頃から適度な運動をおこない汗をかき、汗腺を鍛えることが大切です。
汗腺の機能を鍛えるためには、ゆっくりと汗をかくことがポイントです。じんわりと汗をかく程度のウォーキングを毎日30分前後おこない、有酸素運動を継続的に行いましょう。
無酸素運動のような激しい運動では、汗腺のろ過機能が働く前に急激に汗をかくので、汗腺を鍛える方法としては最適とはいえません。
朝にシャワーを浴びる、夜に湯船に浸かる
就寝中にも汗をかくので皮膚表面の角質や皮脂、汚れといったにおいの原因となる物質を朝のシャワーで洗い流すことで、汗のにおい抑制に効果的です。
シャワーの時間が取れない場合には、濡れタオルやボディシートで体を拭くことでにおい抑制しましょう。
夜の入浴時では、シャワーだけでなく湯船に浸かるとしっかり汗をかくことができるので、においの元となる物質を体外に排出することができます。
夜のお風呂は少なくとも5分間は湯船に浸かり、においを予防しましょう。
食生活の改善をする
臭いを抑える食べ物
汗臭やワキガなど体臭やの加齢臭の元となるのなねーるを発生させる過酸化脂質の増加を防ぐことが大切です。
過酸化脂質の増加を防いでくれるのが抗酸化物質です。
特にビタミンEは抗酸化力が高く、ビタミンCをあわせて摂ることで効果が持続します。
他にはカロテノイドやブルーベリーなどに含まれるアントシアニン、ポリフェノールなどのファイトケミカルにも抗酸化作用があると言われています。
ビタミンC
野菜…ピーマン・ブロッコリー・カリフラワー・ゴーヤなど
果物…アセロラ・キウイ・柑橘類・イチゴ・柿など
ビタミンE
卵・アーモンド・オリーブオイル・アボカド・ゴマなど
また、食事で体内が酸性に傾くと、『加齢臭』や『ミドル脂臭』のような体臭の原因物質が作られやすくなるの、酸性を中和する“アルカリ性食品”を摂ることで予防が可能です。
食品の例は、梅干し・海藻類・ほうれん草などの緑色野菜・大豆・きのこ類などがあります。
腸内環境を整える食べ物
腸内で有害なニオイを発生させないためには善玉菌を増やす食事が必要です。
善玉菌は、ビフィズス菌や乳酸菌など腸の働きをよくする有用菌で、一般的に良好な腸内とは善玉菌が優位で悪玉菌が少ない状態です。
食べ物で腸内環境を整える対策は血行が良くなったり、代謝が良くなるなどの効果があるので是非取り組みましょう。
重要なことは、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌(善玉菌)を意味する「プロバイオティクス」と、有用菌を育てるためのオリゴ糖や食物繊維などの「プレバイオティクス」を摂取することです。食事に積極的に取り入れ体臭発生を予防しましょう。
プロバイオティクス…生きた菌が含まれる食品で、有用菌を腸に届ける
漬物、キムチ、乳酸菌飲料、乳製品、味噌、甘酒、納豆など
プレバイオティクス…有用菌のエサとなる食材で、体内の有用菌を育てる
雑穀、大豆、アーモンド、ゴボウ、キャベツ、玉ねぎ、バナナ、はちみつなど
制汗剤を使う
制汗剤(デオドラント)は、汗のにおいを抑制させることができる効果的なアイテムです。
制汗剤には様々な種類の商品があり、生活のスタイルや日常で利用するタイミングによって使い分けることで効果的に臭いを抑制できます。
制汗剤を快適に利用して体臭ケアをしましょう。
制汗剤の種類と特徴
制汗剤種類 | 特徴 |
---|---|
スプレー タイプ | 全身の臭いケアを簡単に済ませたい時や、汗を拭いた後に使用 スプレータイプなので広範囲に行き届き、脇だけでなく、手の届きにくい背中などにも手軽に使えて、直接肌に触れないので衛生的 香料の種類が豊富であり、自分の好みの香りを選びやすい |
シート タイプ | 外出先でシャワーを浴びられない時や運動後などに、汗を拭き取るために使用 ウェットティッシュのように液体を染みこませたシートで、汗だけでなくベタつきも解消されるので爽快感あり 持ち運びやすく、外出先で汗を洗い流せない場面の、汗やべたつきが気になる時にさっぱり拭き取ることができ、臭いの発生を抑えられる シートは使い捨てなので、衛生的 |
ロールオン タイプ | 脇や首筋などの一部の部位に塗りたいとき、外出先で臭いのケアに使用 ロールオンタイプは、容器の先端についているボール状のローラーを、直接肌に当てて回転させながら液体を塗りこむもの 脇や首筋などに塗りやすく、液体に触れないので手を汚さずにムラなく塗ることができる さらっとした使用感、コンパクトで持ち運びやすい点が人気のポイント 肌に直接ローラーを押し当てることで制汗剤を塗布できる 汗を抑えられる効果があるので、外出前の汗をかいていないときに使用がおすすめ |
スティック タイプ | 脇や首筋などの一部の部位に塗りたいとき、外出先で臭いのケアに使用 スティックタイプは、固形のデオドラント剤を出して、気になる部分に直接塗りこむタイプ ロールオンタイプと同じく手を汚さずに使用することができる 液体成分ではなく固形のほうが良い人はロールオンタイプよりもスティックタイプがおすすめ。 |
クリーム タイプ | なかなか塗り直しができないとき、汗をかきやすい日の外出前に使用 チューブ、ジャーに入ったクリーム状の用品です。 水分への耐久性や肌への密着性が高く、汗に強い足裏や脇の下など、においが特に気になるところへ塗るのがおすすめ 気になる部分に塗ることで、クリームが肌にしっかり密着し、防臭効果を発揮 汗や摩擦でも落ちにくいのがポイント |
まとめ
以上が臭いの発生原因と臭いを抑える対策でした。
原因がわかると対策も取りやすいので是非実施してみてください。
一度にすべてを実践できなくても、できることから始めることで臭いの原因を減らすことができます。
この暑い夏、臭いの発生を抑えて自分も周りの人も快適に過ごせる環境を作っていきましょう。
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